「プラスチックのリサイクル」と一口に言っても、実はその種類はさまざまです。
主な3つとして挙げられるのが「プラスチックマテリアルリサイクル」「サーマルリサイクル」「ケミカルリサイクル」です。
ここではこのマテリアルリサイクルとサーマルリサイクルとケミカルリサイクルを取り上げて、それぞれの特徴について紹介していきます。
プラスチックリサイクルの現状について
プラスチックは非常に便利で、人間にとって有用なものです。
しかしそれをこのまま埋め立て処分としてしまうと、大きな環境問題が起きます。プラスチックは分解されることなく、土にそのまま残り続けてしまうからです。
1950年には約200万程度であったプラスチックの生産率は、2024年には4億トンと、実に200倍にも達しようとしていました。今後もプラスチックの生産量は増えていくと見込まれているため、この「プラスチック」に対するリサイクルは人類にとっても地球にとっても急務といえました。
かつて、プラスチックは「ほとんどリサイクルされないもの」としてやり玉に挙げられることが多かったものでした。1960年~2015年の55年間で処分されたプラスチックのうちの、実に80パーセント近くが「埋め立て」「投棄」というかたちで処分されていました。そのため、プラスチックは環境破壊の代表例のような扱いをされていました。
しかしこのような状況は、現在では大きく様変わりしています。
2022年の段階で、廃プラスチックのリサイクル率は87パーセントを超えています。
この「リサイクル率87パーセント」のうちの60パーセント程度が、CO2の排出を必須とするサーマルリサイクル(※詳しくは後述します)であるという問題点は避けては通れませんが、それでも、かつてのプラスチック処分方法とは大きくそのやり方が異なってきたといえるでしょう。
出典:今、優しい明日をつくる。やさしい素材JAPAN「プラスチックごみはなぜ問題なの?このまま放っておくとどうなるの?」KITECH「2024年、世界のプラスチック生産は4億トンを超えます」REVERエクーオンライン「【2024年度版】廃プラスチック回収・リサイクルの現状」
廃プラスチックから新しいものを作り上げるリサイクル方法~マテリアルリサイクル
廃プラスチックのリサイクル方法は、大きく分けて3つあります。
・マテリアルリサイクル
・サーマルリサイクル
・ケミカルリサイクル
それぞれ、その特徴について解説していきましょう。
まず取り上げるのは、「マテリアルリサイクル」です。
マテリアルリサイクルとは、「廃プラスチックを使って、新しいプラスチック製品を作り上げるリサイクル方法」をいいます。
この方法は、さらに
・レベルマテリアルリサイクル
・ダウンマテリアルリサイクル
の2つに分けられます。
レベルマテリアルリサイクルは、「水平リサイクル」とも呼ばれます。
これは、「リサイクル前の製品と同じ物・類似の物を、廃材を使って作り上げること」をいいます。もっとも分かりやすいのは、「ペットボトル」でしょう。私たちが日常的に使っているペットボトルは、このレベルマテリアルリサイクルによって作られたものが多く見られます。
もうひとつのダウンマテリアルリサイクルは、「カスケードリサイクル(「滝のリサイクル」の意味)」ともいわれるものです。
これは、「リサイクル前の製品の廃プラスチックを原材料として、ほかのプラスチック製品を作る」というものです。たとえば、ペットボトルから食品トレイや卵のパックを作ったりするのが、このダウンマテリアルリサイクルにあたります。
ダウンマテリアルリサイクルはレベルマテリアルリサイクルに比べて費用が安く、レベルマテリアルリサイクルに耐えられない状態の物であっても原材料にできるというメリットがあります。ただし、レベルマテリアルリサイクルを繰り返していくと品質はどんどん低くなっていくため、永久にダウンマテリアルリサイクルを繰り返すことはできません。
かつては、「廃プラスチックから作られたもの、廃プラスチックから作られたペットボトル」などは、「汚いイメージがある」「だれかほかの人が使ったものだと思うと、どうにも抵抗感がある」と感じる人もいました。しかし現在はこのような忌避感を持つ人はほとんど見られなくなったと考えられます。
実際に、今のペットボトルのリサイクル率は非常に高く、2023年度の段階で、ペットボトルのリサイクル率は85パーセントにも達しています
ちなみにここではわかりやすくするために「ペットボトル」「食品トレイ」などを例に挙げましたが、実は道路など非常に大きなものを作るためにも、このマテリアルリサイクルが活用されています。
なお、このマテリアルリサイクルは、リサイクル時に消費するエネルギー量が低いことが大きなメリットです。そのため、環境保護の観点から見た場合、マテリアルリサイクルはほかの2つの方法に比べて、優れた方法だといえるでしょう。
ただしこのマテリアルリサイクルを行う場合は、廃プラスチックをきれいにしておく必要があります。もし廃プラスチックに異物が混ざっていると、うまく再利用ができないからです。マテリアルリサイクルを行うためには、廃プラスチックの回収→回収したプラスチックを砕く→混ぜて溶かす→再び製品に加工(成型)するという過程を踏みますが、廃プラスチックが汚れていると、この過程がきちんと進みません。
日常のゴミ捨てにおいて、「プラスチック製品を分別してください」「ペットボトルは、きちんと洗って、ラベルをはがして出してください」という案内がなされているのは、この過程の負担を減らすためでもあります。
上でも少し取り上げましたが、廃プラスチックのうちの15パーセントがリサイクルされずに捨てられているのが現状です。
しかし廃プラスチックのうちの22パーセント程度が、このマテリアルリサイクルによって「第二のプラスチック生」を歩んでいます。
私たちの生活において、「リサイクルされたプラスチック製品」は非常に身近なものとなっています。おそらく、マテリアルリサイクル(レベルマテリアルリサイクル)で作られたペットボトルを利用したことがない、という人はいないはずです。
その意味では、このマテリアルリサイクルは、あらゆる廃プラスチックのリサイクル方法のなかでも、私たちにとってもっともイメージしやすく、身近なものであるといえるのかもしれません。
出典:PETボトルリサイクル推進協議会「リサイクル率の算出―2023年度リサイクル率は85.0パーセント」
一般社団法人プラスチック循環利用協会 プラスチックのはてな
「プラスチック3つのリサイクル」
廃プラスチックをエネルギーにする~サーマルリサイクルについて
サーマルリサイクルとは、「廃プラスチックを燃焼させたときに得られる熱エネルギーを使う」というリサイクル方法のことです。
上のマテリアルリサイクルのところで少し触れましたが、マテリアルリサイクルをする場合、もともとの廃プラスチックがきれいで、かつ異物が入っていないことが求められます。
しかし廃プラスチックのなかには、不純物が混ざりこみ、分離・選別することが難しいものもあります。
このような廃プラスチックを燃やして、エネルギーに変えることで、廃プラスチックを無駄なく使おうとするのが「サーマルリサイクル」の考え方です。
廃プラスチックを燃やしたときの発熱量は、紙製品の2倍以上になるともいわれています。特に、プラスチックのなかでもポリスチレンなどはなんと石油と同じ程度の発熱量を持つとされています。固形燃料のかたちにされた廃プラスチック(RPF、“Paper & Plastic Fuel”)は近年特に注目を浴びているものですが、「ゴミを燃やしたときの余熱を使って、発電を行おう」とする一石二鳥の仕組みや、セメントの成型に役立てられる技術なども確立されています。
このように、サーマルリサイクルのかたちで得られた熱エネルギーは、その高い熱量ゆえ、大型の温水プールや大規模工場の暖房、大きな温室の運用などに積極的に使われています。
ただサーマルリサイクルは、大きな熱エネルギーを得られるというメリットはあるものの、デメリットも大きいリサイクル方法です。なぜならサーマルリサイクルは、その過程において、CO2を多く排出することになる処理方法だからです。
持続可能な世界を目指すための17の目標を定めたSDGsでは、その12の「つくる責任つかう責任」においてリサイクルを進めていますが、同時に13の「気候変動に具体的な対策を」で「気候変動への対応をしよう」としています。CO2は気候変動の原因のひとつであるため、サーマルリサイクルによるリサイクル方法は、「つくる責任つかう責任」を満たすものの、13の「気候変動に具体的な対策を」とは相反するものだといえます。
このような事情を踏まえて、諸外国では、「サーマルリサイクルはプラスチックのリサイクル方法とはしない」としているところも見られます。
さらに、日本で、廃プラスチックの「行先」としてもっとも多くの割合を占めているのがこのサーマルリサイクルです。廃プラスチックのうちの60パーセント近くが、サーマルリサイクルのかたちで使われています。このような現状を踏まえて、「サーマルリサイクルはたしかに有効なリサイクル方法ではあるものの、ほかのリサイクル方法の割合を高めていくべきではないか」という声もあります。
出典:ユニセフ「SDGs17の目標」一般社団法人プラスチック循環利用協会 プラスチックのはてな「プラスチック3つのリサイクル」
プラスチックを「原料」にまで戻す~ケミカルリサイクル
ケミカルリサイクルは、プラスチックのリサイクル方法のなかでも、もっともイメージがつきにくいものかもしれません。
マテリアルリサイクルが「プラスチックを再びほかのプラスチック製品の材料として利用するもの」、サーマルリサイクルが「プラスチックを熱源として利用するもの」ならば、ケミカルリサイクルは「プラスチックを一度分解して、原料として利用するもの」であるといえます。
廃プラスチックに対して科学的な処理を施し、廃プラスチックを分解することからケミカルリサイクルは始まります。
廃プラスチックから石油などの油を取り出したり、アンモニアや水素などの気体を取り出したり、鉄を作るときに使われる還元剤にされたりといったかたちで使われていきます。
ケミカルリサイクルは、異物が中に含まれていても取ることのできるリサイクル方法です。また、CO2の排出量を抑えることができるうえ、天然資源の利用量を抑えられるというメリットもあります。
ただ、このように有益なケミカルリサイクルは、プラスチックのリサイクルのうちの3パーセント程度を占めるにすぎません。
これは、ケミカルリサイクルの方法をとるときに必要となるエネルギー使用量が非常に大きいこと、またコストがかかることが理由です。
このため、現在はより効率のよいケミカルサリサイクルの方法が模索されています。
「プラスチックの再利用」は、地球の持続可能性を探るうえで非常に重要です。
それぞれのプラスチック製品に応じたリサイクル方法を、弊社でも常に考えています。
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